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製作記事(エレクトロニクス編)
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弾粒式発煙装置の自作
■ 弾粒式発煙装置の自作(Nゲージに利用可)
弾粒式発煙装置の自作(Nゲージに利用可)
2016/01/31 文 : Hiroshi Oguma
自作弾粒式発煙装置
ここでは、弾粒式発煙装置の自作方法について記します。
□ 用意するもの
ガラス繊維のチューブ(ガラス繊維を編みこんで作った耐熱性の不導体チューブ)
ニクロム線
※ガラス繊維のチューブとニクロム線が単独で入手できない場合には、 ニクロム線式半田ごての交換用ヒーターを入手するか、 半田ごてを分解してください。 なお、セラミックヒーター式の半田ごては使用できません。
真鍮製パイプ(2種 本体用:φ8-10mmと煙突用:φ2mm 程度)
真鍮板
ケーブル(コード)
エポキシ樹脂接着剤(または耐油・耐熱性があり、かつ不導体のシール材)
半田(板金用等融点の高いもの/電子用は不可)
ペースト(板金用フラックスの使用は避けてください。ヒーターや電線が腐食する恐れがあります)
テスター
半田ごて
ドリル(ピンバイス)
ヤットコ(またはラジオペンチ)
金属ヤスリ
金属製ボディーの車両(プラ製不可)
1A以上の出力が出せるコントローラー
□ 制作方法
※いきなり製作せずに、一度最後までごらんになってください。
ニクロム線にテスターをあて、24Ω前後になる長さにします(Nゲージの場合)。 この抵抗値は使用する走行用モーターやコントローラーによって決まります。 消費電流が大きい程(=抵抗値が低くする)、発煙量も増えますが、 あまり大きくすると、発煙装置に電流が食われてしまい、 走行用モータがほとんど回らなくなります。
→Nゲージで24Ω:消費電流0.5A程度、 HOゲージで12Ω:消費電流1A程度に押さえた方が無難です。
解説
温度によって抵抗値が変化しますが(ニクロム線の場合、 温度が高くなると抵抗値も上がる)、 消費電流は、オームの法則 : 抵抗 = 電圧×電流 により簡単に求められます。(24Ωで12V時の消費電流は0.5A、 12Ωならば1A、48Ωならば0.25Aです)
ヤットコ(またはラジオペンチ)を使用し、 コードとニクロム線をよじって繋ぎます。
※コードの被覆ビニールは取り去っておきます。
ニクロム線が巻かれていない場合や、本体用の真鍮製パイプの内径よりも太い場合は、 希望の太さに巻きなおします。
使用する機関車のボイラーの内側に入るφ8-10mm程度の真鍮パイプ(希望サイズの太さが 入手できない場合には真鍮板を丸めて製作)を機関車に入る大きさで、 かつニクロム線が入る大きさに切断します(煙突の位置等とも関係があります 完成図参照)。 通常、ボイラーの内側にはウエイトがありますので、これを全部発煙装置にしてしまうと、 牽引力が使用に耐えられないほど弱くなるおそれがあります。半分くらい残したほうがよいと思います。 テンダードライブ式やユーレイに後押しさせる場合は目一杯の大きさも可能ですが、 動輪が空転(?)しない程度にしましょう(ロッドが回らないのはみっともないですし、 偏磨耗します)。また、あまり大きくすると、ヒーターの熱量不足で、 ほとんど発煙しないこともあります。
お勧めのサイズはφ10-12mm 長さ20-40mm前後です。
→小さいと作り難い/発煙時間が短くなる。
→大きいと前述の問題が出る。
本体に穴を開け、煙突をつけます。煙突は半田付けしてください。
本体前部に真鍮版を半田付けし、余分な個所をヤスリ取ります。
※真鍮工作に自信が無い場合は、一回り大き目に作ったものを半田付け後、 ヤスリ取ると良いと思います。
本体後部は、まず、真鍮版を2-3枚重ね、半田付けします(この時には 本体には半田付けしないでください)
※張り合わせるより、 厚い真鍮版一枚の方が良いのですが、切断が大変なので、張り合わせにしています。
できた厚板にドリルでコードを通す穴を二箇所開けます。
コードにガラス繊維のチューブを通します(ガラス繊維が絶縁材になります)。
本体後部用厚板にガラス繊維のチューブの内側にニクロム線を接続したコードを 通します。
※ガラス繊維の内側にあたる部分のケーブルのビニール被覆は取り除いてください。
※200-300度に耐えられる極細耐熱被覆のケーブルが入手できる場合には、 ガラス繊維の代わりに使用できると思います。
ヒーターの抵抗値をチェックします。若干変化しているかもしれませんが、 Nゲージ用で24Ω前後、HOゲージ用で12Ω前後ならばOKとします。 値がおかしい場合は、配線をチェック→修正、だめならば作り直します。
コードが金属板に触れ、シュートしないように気をつけながら、 エポキシ樹脂接着剤でシールします。
エポキシ樹脂接着剤の硬化後、ヒーターの抵抗値をもう一度、チェック。
OKならば、本体後部から完成したヒーターを入れ、妻板を半田付けします。
煙突から水を入れ、水漏れ検査をします。漏れている場合は、半田付けまたは、 エポキシ樹脂接着剤のシールをやり直します。
完成
□ ベンチテスト
もう一度、ヒーターの抵抗値をチェックします。
一旦水を入れ、発煙装置内部の容量を計測します(おおよそでOK)。
水を抜きます。
発煙装置を木片等ある程度熱に強いもの(=プラは不可)の上に設置します。
コードを暫定的に延長し、コントローラーに接続します(電源はOFF)。
全体の1/4-1/6程度の油(発煙オイル/灯油)を注入します。
残りは水を注入します(水面/油面が煙突下部よりもやや下くらいの量がベストです)。
コントローラーの電源を入れ、様子を見ながら、6V程度(半分くらい)まで上げます。
[注意事項]
通電中は煙突を絶対に覗かないでください。発煙用オイル/水を入れすぎた場合、 突然噴出すことがあります。事故が起きても責任は一切持ちません。
やがてパチパチ音がして、煙が出てきます。
最初は蒸気、しばらくして混合煙、 最後に油煙になります(大きさや抵抗値/電圧にもよりますが、 一回の発煙時間は、5-15分程度です)。 油煙だけになったり、煙が出なくなった場合は、すぐに電源をOFFして下さい。 空焚き状態で放置すると断線します。
□ 給水/給油
水の方が先に無くなります。油は3-4回に一回でよいと思います。
水と油の混合比がやや難しいですがコツさえつかめれば、 大きさの割にはそこそこ煙が出ると思います。
□ 実装
発煙装置の実装
ベンチテストが上手くいったならば、水/油を抜き、車両に実装します。
なお、故障(断線)の場合、交換できなくなってしまいますので、 ボディーに発煙装置を接着することはやめた方が良いと思います。
また、繰り返しになりますが、プラ製のボディーはそのうち変形するので、 取り付けることができません。
□ 注意事項
鉄道模型の発煙はなかなか難しく、残念ながら、(特に小型のNゲージでは)「スイッチポン」でいつまでも 実感的な煙を出しつづける、決定打となりうる方式があまりないようです。 その点をご理解の上、この記事からの自作を試みていただければ、と思います。
□ 鉄道模型用 発煙装置の解説
解説へ↓
鉄道模型用 発煙装置の解説
□ 免責事項
このコンテンツは最低限の電気/金属加工の知識を持った方を対象にしております。 質問等には一切お答えできません。 このコンテンツにより作成したものの動作保証は一切いたしません(筆者が作成し、 動作確認した回路図等を記載しておりますが)。 この記事により作成したものにより被った不利益等は一切保証いたしません。 個々のご判断と責任により作成してください。
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