ここではレールへのバラストの散布方法:ボンドバラスト法 をご紹介いたします。
最近、N, HO, Oの各ゲージで見た目がリアルな道床付きレールがたくさん発売され、
レイアウト製作にあたっては、
以前ほどレールへのバラスト撒きが必要なくなったかもしれません。
とはいえ、固定式レールあるいはフレキシブルレール +
バラストの表現も捨てがたいものがあります。
また、見た目がリアルな道床付きレールの周りにバラストを撒くと、
より自然な感じになります。
以下、バラスト撒きの手順を簡単に記します。
- バラスト
- 刷毛2-3本
- 木工用ボンド
- 台所用洗剤
- 広口の瓶(しっかり口が閉まるもの)
- スポイト
- はけ
- 攪拌用の棒
- 使い古しの歯ブラシ
- 爪楊枝/へら(金属製不可)
- 篠原模型店製のレールクリーナー(消しゴムタイプ)などのレールクリーナー or 2000番以上の紙やすり
下記などがいろいろなバラストを発売していますので、
好みとシーンに合わせて購入します。
バラストの色調は駅やローカル線は茶色が濃いもの、
幹線や新線を表現する場合は灰色っぽいもの、
を目安に使い分けるとそれらしく見えます。
粒の大きさは好みによるところが大きいのでなんとも。
Nゲージ用
- トミックス(TOMIX)
TOMIXのバラストは入手が容易で散布も簡単ですが、
なにぶんかなり前から発売されている製品なので、
今となってはややリアル感に劣る気がします(Nゲージ用としては粒が大きい)。
- カトー(KATO)
KATOでは、固定式線路用、ユニトラックに色を合わせたもの、
Woodland Scnics(ウッドランド・シーニックス社)製の細かなものなど、
いろいろ取り扱っています。
各ゲージ用
- モーリン
モーリンからはいろいろは粒の大きさのバラストが出ています。
- ヒルマモデルクラフト
ヒルマモデルクラフトのバラストはパルプ製で非常に軽いのが特徴です
■ 木工用ボンド水溶液の作成
木工用ボンド水溶液の作成
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まず、木工用ボンド水溶液を作りだめします。
- 広口の空き瓶を用意し、以下の割合で混ぜます。
・ボンド : 3-4
・水 : 1
※ボンドが下にたまってしまうので、よく混ぜてください。
- その後、台所用洗剤を全体の0.5%程度を入れ、
さらに混ぜます。
※最初から洗剤をいれて混ぜると泡だらけになり、
なにがなんだかわからなくなるので最後にします
(泡はしばらく静置すると消えます)。
濃度調整がどうしても上手くいかない or 解らない 場合、
TOMIX製のシーナリーボンドを1本購入し、
参考にするとよいかもしれません。
TOMIXのシーナリーボンドはやや値が張りますが、
誰でも使いやすい濃度に調整されています。
なお、ここで作成したこのボンド水溶液はパウダー散布にも使えます。
次にベースボードにレールを小釘で固定します。
多くの場合、レールの発売元から黒等で着色された頭が目立たない小釘が発売されています。
なお、バラストを散布→固着すると、
剥がすことが困難になりますのでコネクターやポイント周りの配線も済ませておきます。
道床付きレールはともかく、
固定式レール(フレキシブルレール)は釘などできちんと固定します
(両面テープやゴム系接着剤はNG)。
また、フレキシブルレールはベースにラインを引き、
それを目安にレールを敷設した方がよいです
(感性だけで敷設すると脱線が頻発するカーブができたりします)。
固定式レール(フレキシブルレール)は、Nゲージではコルク道床、
HOゲージではコルクか木製道床の上に敷設することが多いです。
また、T-TRAKなどの道床付きレールをモジュール端部に使用する場合は、
小釘 + バラスト固着でもレールが剥がれてくる場合があり、
皿ねじを使用してレールを固定すると丈夫になります。
そのままでは目立つので工夫が必要ですが。
平らな場所にベースボードを置き、バラストを少しずつ散布します。
指(大雑把)や乾いた筆(細部)で形を整えてゆきます。
なお、道床つきレールを使用した場合、
レールとレールの間にバラストを撒くことは、
お勧めしません。走行トラブルが発生しやすくなります。
また、ポイントへのバラスト散布はトラブルが多いです。
可動部はテープなどで覆ってください。
ビギナーの方は、ぐっと少なめに散布
or 諦める が良いかもしれません。
スポイト等で木工用ボンド水溶液を静かに流し込み、
全体にゆきわたったら、乾くまで水平な場所に静置します。
[木工用ボンド水溶液の流し込み方]
ボンド水溶液は、かなり水っぽいです。
これで固定させる為には、「ひたひた(=バラストが流失しない程度)」
になるまで流す必要があります。また、一回流したくらいでは、
すぐに取れてしまう場合もありますので、乾いてから様子を見て、
何度か流し込むとさらに良いと思います。
[注意事項]
- ポイントが固着しないように注意してください。
- バラストの上で水溶液が玉になるようなら(バラストに弾かれている)、
洗剤が不足しています。
- バラストとスポイトの間隔が広い(スポイトでぽたぽたたらしている)、
または、水溶液の押し出し方が強いとクレーター状になる場合があります。
※バラストの下のほうから静かに流し込むのも手です
(毛細管現象でしみ込ませます)。
- 一箇所に一度に大量の水溶液を流すとバラストが流失します
(特に道床つきレールで顕著)。
様子をみながら、少しづつ加えてゆきます。
- 流し込みが終わったと思っても、
角度(視点)や見る方向を変えて本当に十分流し込めているか確認し、
不足している箇所は足します。
※水溶液にはあまり色がついていないので、よく確認してください。
注意深く見れば、水溶液に浸っていないところと、
そうでないところが判ります。
バラストを撒き過ぎたと水溶液を流してから気づいた場合は、
刷毛や歯ブラシで除去します。
平らな場所に1日放置し、ボンドが固まるのを待ちます。
湿度が高い場合は、一日以上かかることもあるかもしれません。
ボンドの濃度が薄かった場合
(指で軽く押すだけで簡単にはがれてしまう状態)、
半分固まっている状態からもう一度、木工用ボンド水溶液の流します。
不用意にひっくり返してバラストを流失してしまった場合は、
上から撒きなおします。
なお、木工用ボンド水溶液の濃度が濃すぎる場合には不自然な光沢が出ます。
不満はなくとも、さらに強固にする為に、
ボンド水溶液をダメ押しで流すのも手です
(濃度を薄めにした場合は有効な方法です)。
「バラストを撒き過ぎた」と固まってから気づいた場合は、
爪楊枝、へらなどで気長に除去します。
バラストの色が変わってしまった場合は、
着色します(ユニトラックタイプはガンダムマーカーの灰色が似ています。
タッチアップに使えます)。
テストランで、フラッジが当たっているようなら撒き過ぎです。
古い製品や外国型など、フラッジが高めの製品
(NゲージではTOMIXの機関車トーマスシリーズのフラッジが高い)
でテストすることをお勧めします。
レールに付着したボンドは通電不良の原因になりますので、
へらで除去し、篠原製のレールクリーナー(消しゴム)か、
2000番以上の紙やすりで仕上げます。
バラスト散布で感じが良くなったと思いますが、さらにもう一息。
ここまできたらレールの側面を茶色に塗るとぐっと感じが良くなります。
細筆などで好みの茶色に塗ります。
塗装後はあまり手を触れる場所ではないのでプラ用の塗料でも塗装できます。
レール上にはみ出た塗料は、通電不良の原因になりますので、
乾燥後、篠原製のレールクリーナー(消しゴム)か、
2000番以上の紙やすりで除去します。
バラストやパウダーの散布には、
このコンテンツのように木工用ボンドの水溶液を使うことが多いですが、
最近、
Liquitex(リキテックス社)から発売のマットメディウム(アクリル絵の具)を使う方も増えてきているようです。
木工用ボンドと比較して、
といった利点があるようです(筆者は使ったことがないですが)。