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■ W型戦時標準船(青函連絡船車両渡船) 第六青函丸の製作(Nゲージ) W型戦時標準船(青函連絡船車両渡船) 第六青函丸の製作(Nゲージ)
2016/04/21 文 : Hiroshi Oguma

W型戦時標準船(青函連絡船車両渡船) 第六青函丸
製作したW型戦時標準船(青函連絡船車両渡船) 第六青函丸
※後ろは東 秀明 氏 作 津軽丸型青函連絡船

W型戦時標準船(青函連絡船車両渡船) 第六青函丸をNゲージで製作してみました。 東氏が津軽丸型の青函連絡船を製作し、合同運転会に持参されると聞き、自分も連絡船を作って横に並べてみたくなり、急遽作成を開始しました。 過去の運転会で、Nゲージサイズの青函連絡船を見たことがあり(といいますか、お願いして展示していただきました)、 いつかは自分も作成したいと思っていました。今回は、自分も参戦した次第です。

製作開始から、運転会まで三週間弱しかなく、手馴れた工作技法と市販品の活用、それとプロトタイプに最も構造が簡単なW型戦時標準船を選ぶことで、なんとか形になりました。 Nゲージサイズの連絡船にチャレンジしてみようという方がどれだけおられるかわかりませんが、稚作がなにかのご参考になれば幸いです。

ベース ベース・工作の概要

イマイ 1/150黒船 船体
イマイ 1/150黒船 船体

船首部分
船首部分

船体中央部分
船体中央部分

船尾部分
船尾部分


ベースは、ほぼ無いに等しいです。閉店セールで投売りされていたイマイ(青島文化教材社)の1/150 黒船 を船体の一部に使いましたが、ラインの参考になったものの、あまり役に立ったとは言い難いです(ウオーターラインモデルなので、下半分使っていませんし)。 ディティールを削り落としたり穴を埋める分だけ、かえって加工の手間が増えるので、 これらの大型帆船プラモをベースに青函連絡船が作ることができる、と考えない方がよいと思います。

船主部分は細切にしたt0.5のプラ板で大まかな形をつくり、ポリパテで整形。 それ以外は、t0.5のプラ板を三枚重ねにした板がベースで、3mm×3mmまたは2mm×2mm角材で補強しています。 隙間な瞬間接着剤系のパテで埋めて整形しています。

板(?)の部分は、船底(ウオーターライン)・車両甲板・甲板の三枚構造で、線路が仮配置である関係で、車両甲板も固定していません。 また、脱線時に困るので、甲板は固定しない予定です。

構造物
構造物

手摺・階段取り付け
手摺・階段取り付け

船員室等は、t0.5のプラ板で、ドアはGM公団住宅の勝手口を流用。ブリッジの窓は、GMのスハフ43の窓です(シル/ヘッダー落としています)。

t0.5のプラ板を多用したのは、切断の時間(と手間)を短縮する為です(厚いプラ板の切断に四苦八苦するくらいなら、三枚つくって貼り合せた方が早いと判断)。

手すりは、なかなか利用できるものがなさそうでしたが、Tomixのワイドレール用壁 を加工して使いました。階段は、歩道橋や跨線橋を利用しようとしましたが角度が緩くて使えず、 比較的急なトミーテックのコンビナート積み出し所 を利用しました。また、ブリッジの下の鉄骨は、Tomixの木造跨線橋を利用しています(形が違うものの、サイズが近似値でしたので利用しました)。

甲板木造部・煙突・通風口・救命ボート
甲板木造部・煙突・通風口・救命ボート


甲板の木造部は、エバーグリーンのプラシート(2mm毎に筋が入っているもの)を利用。

煙突は2本のプラパイプを横に繋げてプラ板を接着してパテで整形(100ライターみたいな形になりました)。 通風口は、プラパイプとバーニアノズル + エポキシパテ。3本マストは、プラパイプとトミーテックの煙突Aのパーツで作成しました。

救命ボートは、イマイ 1/150黒船のものを利用しました。錨はまだつけていませんが、JNR型に拘らなければ、キットのものを加工すればできそうな気がします。

船尾
船尾



船内のレールは現段階では、固定していません。 青函連絡船は基本的に船尾部分は3線、内部で4線で、内部にポイントがあります(※翔鳳丸型は内外3線、洞爺丸型と初代十和田丸は外1線中2線)。 Tomix/PICOどちらのYポイントでも作例があるようですが、東氏曰く「脱線が多い」とのことですので、思い切ってダミーポイントにしようかと思っています。

塗装 塗装

塗装は、全てプラ用の缶スプレーです。GMのねずみ1号、つや消し黒、白3号、近鉄オレンジ(=煙突等)、クレオスのタン(=木製部)です。 船室に照明を入れるので遮光の為に、黒色のプライマーを塗りました(t0.5は光が透けます)。 ファンネルマーク等はミラクルデカールです。

発煙装置 発煙装置

蒸気船ですので、煙突にゾイテ製の発煙装置を仕込んでみました。

思った以上に発熱するので、やや不安ではありましたが、木片を挟んで軽く固定し、なるべく空間を空けることで、煙突が変形しないようにしました。 ただ、連続運転はどう考えてもできないので、煙突は金属でつくりかえようかと思っています。

実物について・感想 実物について・感想

津軽丸型との並び
津軽丸型との並び
※八甲田丸は、東 秀明 氏 作

Nゲージサイズの1/150でも全長78cm。津軽丸型の88cmよりは小さいですが、作業中はなかなか場所をとります。 また、保管や移動の為に沖縄三線用アルミケース(※2丁用でないと幅が足りません)を購入しました。 余談ですが、津軽丸型以外の青函連絡船は、沖縄三線用アルミケース(2丁用)に入ると思います。

W型戦時標準船 : 第六青函丸は、戦時中の1944年に就航し、1945年空襲で座礁。 青函航路の輸送が逼迫していたので、1947年に修復->復活。この時に、ボイラーを増設(=煙突が3本に)、デッキハウス付きになりました。 それ以外にも洞爺丸事故の教訓によって水密扉の設置等、度重なる改装を重ねながら、戦後の青函航路の一責を担い、 1964年まで活躍しました。

「海峡の女王」「海の新幹線」とまで呼ばれた、優美で近代的な津軽丸型と並べると、 「よくぞこの船で津軽海峡を往復していたものだ」と感じざるを得ず、 半世紀以上前に、青森-函館間の輸送を支え続けた当時の乗組員の皆々様方には頭が下がります。 また、同時に技術の進歩を感じます。

製作時間短縮の為に二本煙突の登場時の姿で作成しましたが、 実物の登場時は、おそらく緑灰の警戒色で機銃が装備された対空襲姿だったと思います。 さすがにこの姿にする気はせず、戦後の塗装にしました。運転会後に、小物や電飾の追加と デッキハウス・煙突の増設を考えていましたが、この簡素な純車両渡船の姿もなかなか捨てがたく、 デッキハウスはどうしようかなぁ、と思っています。

Nゲージ/HOゲージサイズの連絡船は、すばらしいものが過去に発表されており、それにひきかえ実物同様の粗製乱造品です。 青函連絡船を並べてみることができ、東氏や運転会の皆々様には感謝いたします。

仙台には、すばらしい出来の洞爺丸型もあるようです。 なかなか難しいとは思いますが、どこかのイベントで皆様が製作した連絡船を並べてみることができたら壮観だろうな、と思います。

参考情報
 ・覚えていますか青函連絡船。19年前のNスケール「八甲田丸」の写真
 ・
JAM2013 TBV 青函連絡船 - YouTube
 ・
青函連絡船最後の蒸気船十勝丸。 - YouTube ※実物の動画

参考文献
 ・「鉄道連絡船100年の航跡」 古川 達郎 著 成山堂書店 2001年 ISBN: 9784425921416
 ・「日本の鉄道連絡船 1884-1976」 古川 達郎 著 海文堂出版 1976年 ISBN:430363252X, 9784303632526
 ・「戦時標準船入門 戦時中に急造された勝利のための量産船」大内 建二 著 光人社NF文庫 2010年 ISBN: 9784769826484 ※「戦時標準船入門」の青函連絡船の記述は、誤りが多いようです。



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