鉄道模型コントローラーにも様々な方式がありますが、
ここでは、実物の運転台のように自動加減速するコントローラーの作り方をご紹介いたします。
ここでご紹介するコントローラーは実物の運転台のようにノッチを入れると自動加速し、ノッチオフで徐々に速度が落ち、ブレーキをかけるとしばらくすると止まります。
コントローラーの方式は
鉄道模型コントローラーの自作(トランジスタ式)
と同じくトランジスタ式と呼ばれ、基本技術は1970年代という、
PWM式等のプログラム制御が発達した今日では、もはや古典的な方式です。
実物の運転台のように動作するコントローラーとしてはプログラム制御の方が良いかもしれませんが、
鉄道模型コントローラーの自作(トランジスタ式)
に少し手を加えるとそれらしいものができてしまうので、ご紹介する次第です。
※このコンテンツは
鉄道模型コントローラーの自作(トランジスタ式)
の内容をご理解いただいている方を対象にしています(=基本的な個々の部品の解説や基本的な解説は行いません。上記リンクを参照願います)。
1. 自動加速、減速の基本回路
1. 自動加速、減速の基本回路
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自動加速、減速の基本回路は下記です。解りやすくする為に、ノッチ1段、ブレーキ1段の1ハンドルタイプとしています。
1. トランジスタで電圧を制御する場合の基本回路
に自動加速、減速する為の電解コンデンサとノッチ/ブレーキ用の2Pスイッチ(中立でOFF)と抵抗を追加しています。
簡単な解説をいたします。
ノッチを入れる(スイッチを加速側に倒す)と、電解コンデンサとパワートランジスタの両方に電流が流れます。
電解コンデンサが充電されるにつれ、ベースの電圧が上がり、コネクタ - エミッタ間の電圧も上がります。模型は加速します。
電解コンデンサが満充電になるとパワートランジスタ(のベース)側にのみ流れるようになりますので、コネクタ - エミッタ側の電圧の上昇が止まり一定電圧になります。模型は一定速度で走ります。
ノッチをオフする(スイッチを中立にする)と、電解コンデンサからの放電が始まりパワートランジスタに電流が流れます。
電解コンデンサが放電されるにつれ少しづつベースの電圧が落ち、コネクタ - エミッタ間の電圧も落ちますので、模型は惰行運転状態になります。
ハンドルをフレーキ側に倒す(スイッチをブレーキ側にする)と、スイッチ・抵抗経由の放電が始まり、電解コンデンサの放電速度が速くなります。
放電されるにつれコネクタ - エミッタ間の電圧も落ちますので、模型は減速します。
加速は、各ノッチによって加速度が変わってしまう(実物は基本、加速度一定)。
ブレーキは、減速するにつれ効きが甘くなる(電解コンデンサの放電を増やしてゆく回路がない為)といった点が実物と異なります。
また、2ハンドルタイプのブレーキは電気指令ブレーキタイプです(自動空気ブレーキの操作はこのような単純な回路では再現できそうにないです)。
以下、この基本回路を組み込んだ応用例です。ワンハンドルタイプは各ノッチとブレーキの段数を増やし、加速調整用と最高速度調整用のボリュームを追加すれば完成します。
2. ワンハンドルタイプの回路
2. ワンハンドルタイプの回路
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解りやすくする為に、ノッチ3段、ブレーキ3段のワンハンドルタイプとします。段数はお好みで増減してください。
3. 2ハンドルタイプの回路
3. 2ハンドルタイプの回路
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解りやすくする為に、ノッチ3段の2ハンドルタイプとします。段数はお好みで増減してください。
4. [参考]ワンハンドルタイプの回路(トランス使用)
4. [参考]ワンハンドルタイプの回路(トランス使用)
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ご参考までに、電源にトランスを使用したノッチ3段、ブレーキ3段のワンハンドルタイプの回路図を記載します。
- このコンテンツの内容はアマチュア鉄道模型連絡会の公式(?)見解ではなく、
あくまでも執筆者の個人的な意見です。
- このコンテンツは最低限の電気の知識を持った方を対象にしております。
- このコンテンツにより作成したものの動作保証は一切いたしません(筆者が作成し、
動作確認した回路図等をもとに記載しておりますが)。
- この記事により作成したものにより被った不利益等は一切保証いたしません。
個々のご判断と責任により作成してください。